この韓国映画は1200万人が韓国で2017年に見た興行一位の大ヒット映画でした。前年は朴槿恵大統領の責任を問うろうそくデモが盛り上がっていきましたが、そうした時代の精神と結びついているように思います。この映画のもとになった1980年5月の光州における弾圧については、当時高校生だった僕は教育実習で母校にやってきた世界史の教員志望の大学生から聞きました。世界史と言えばナポレオンとか、シーザーとか、アレキサンダー大王みたいな人物の偉業のオンパレードの中でしたが、その学生先生は、当時隣国で起きていた事件についておしえてくれました。当時韓国は未だ軍事独裁政権でしたが、この民主化運動への弾圧は最も残虐なものでした。僕たち高校生は、その教育実習の先生の授業を教室をはしごして追いかけて聞いていました。他人のクラスにまで越境して授業に出たのもこれが初めてでした。この映画の最後のタクシー運転手たちの連帯と闘いは、どこまでが史実かわかりませんが、そこに描かれた精神は日本に不足しているものでしょう。