「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

『歴史家と少女殺人事件 レティシアの物語』(語り手・真野倫平)フランスを読む#27

「フランスを読む」では南山大学の真野倫平教授にイヴァン・ジャブロンカの「歴史家と少女殺人事件 レティシアの物語」についてお話しいただきました。ジャブロンカは歴史学者ですが、作家としても著名で様々な賞も受けています。この本は歴史学者がメディア…

米劇作家エドワード・オールビーの”遺言”  Civics(市民論・市政学)の教育を取り戻す必要がある

私は若い頃、法学部で学んだ後に、本当にやりたかったドラマの勉強を専門学校でしました。その頃、いろんな劇作家やシナリオライターの作品を読んで魅了されたものでしたが、エドワード・オールビーもその一人でした。彼の晩年のメッセージを私は非常に興味…

ペロシ下院議長(民主党)の訪台は世界を危機にさらすと批判したNYTのトマス・フリードマン ~有事への引き金~

続けてこのようなものを書きました。 村上 www.nikkanberita.com

表現の自由とネットメディア 統一教会をめぐる投票日前の報道をきっかけに

安倍首相が暗殺された翌日の朝刊は各紙ともまったく同じ見出し「安倍元首相 撃たれ死亡」というもので、ネット世界では多くの人が大手5紙を並べて、その異様さを見える化していました。これを見たら、報道の自由はもはやこの国になくなったのだなと多くの人…

アベノミクスとジニ係数  ~所得再配分後の数値に定義変更したら、労働者の所得格差は隠ぺいされるのではないか~

最近、TVで知名度が上がって来た社会学者がある記事を推奨していたので読んでみると、安倍政権下のアベノミクスで貧困の程度を示すジニ係数が減少していたというのである。それはビジネスジャーナルの「『アベノミクスで格差拡大』という誤った認識が流布し…

7月9日の朝刊見出しの一致ぶりについての検証は終わっていない ~有事・選挙とメディア~

皆さん 久々に書きました。読んでくださったら感謝です。 村上 www.nikkanberita.com

安倍首相狙撃事件がTVとYouTubeコンテンツの価値観の逆転の契機となりつつある

TVとネットメディアの関係は、かつてはネットメディアは胡散臭い、素人、質の低さという風に見られていましたが、安倍首相の暗殺事件をきっかけに逆転してしまった感があります。これはTVメディアが核心部の情報を結束して国民に隠していたことが見えてしま…

「ジェンダーと歴史学」の著者、ジョーン・W・スコット教授の講演

平凡社から翻訳が出ている「ジェンダーと歴史学」の著者、ジョーン・W・スコット教授による講演。ジェンダーという言葉は何を意味しているのか、もう少し知りたく思い、YouTubeで著者について検索してみました。 www.youtube.com

NATOの夏戦略 V.S. ロシアの冬戦略  トマス・フリードマンのNYTコラムから

NATOの夏戦略 V.S. ロシアの冬戦略 トマス・フリードマンのNYTコラムから ニューヨークタイムズの著名な国際ジャーナリストでコラムニストのトマス・フリードマンが先日、The Ukraine War Is About to Enter a Dangerous New Phase(ウクライナの戦争は新た…

ウラ東アジア共同体と「女性たちのフランス革命」(クリスティーヌ・ル・ボゼック著) 

安倍首相暗殺事件と統一教会の関係のニュースを見ながら感じたのは国際ニュースの二分法(中国VS米国を中心とした資本主義陣営)とは違った視点から東アジアを見ることはできるんだな、ということでした。それは韓国の反共カルト宗教組織・統一教会(現在の…

ハッキングによる情報漏洩事件 読売新聞とアンスティチュ・フランセ

ネット社会、ネット決済の進化に伴う負の側面。アンスティチュ・フランセは発表がかなり遅かった。 www.institutfrancais.jp www.yomiuri.co.jp

もはや情報を隠すことはできなくなったらしい。

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今回の暗殺事件報道で信頼を決定的に失ったTV報道

今回の安倍首相の暗殺事件で、決定的に影響を受けたのはTV報道でしょう。TV報道が10日の参院選挙投票まで統一教会という名前を徹底的におそらくキー局の全局が秘めたらしいこと、そして、9日にはNHKスペシャルまで拙速で作って放送されたにも関わらず、統一…

キャシディ・ハッチンソン証言の衝撃  トランプに内乱罪の可能性も

6月28日に議会で行われた司法の委員会で、トランプ大統領のホワイトハウスの職員だったキャシディ・ハッチンソン氏が昨年、1月6日にトランプ支持の極右勢力の米議会占拠事件について証言を行った。この証言は歴史に残るインパクトを与えた。なぜかといえば、…

「パンデミックで悪化した階級間の壁 ~フランスにおける新型コロナ感染症対策の自宅閉じこもり違反者の報道から~ 9回目」 ソフィー・ビュニク 「Des barrières entre classes aggravées par la pandémie. À propos de la médiatisation du non-respect des mesures de confinement en France 9」par Sophie Buhnik

(ソフィー・ビュニクさんのエッセイの続き 9回目 最終回) ここで批判されているのは、政府の方針に逆らってオープンしていたこれらのレストランにやって来た客たちの下品さである。客たちは結局、風味の乏しい料理に対して法外な料金を支払う心構えができ…

「パンデミックで悪化した階級間の壁 ~フランスにおける新型コロナ感染症対策の自宅閉じこもり違反者の報道から~ 8回目」 ソフィー・ビュニク 「Des barrières entre classes aggravées par la pandémie. À propos de la médiatisation du non-respect des mesures de confinement en France 8」par Sophie Buhnik

(ソフィー・ビュニクさんのエッセイの続き 8回目) 最後に、この件について最も興味深く、真相暴露的だったのはインターネットユーザーたちが作った料理のパロディだった。スキャンダルで一番衝撃を与えたものの1つが、料理の値段とメニューとの乖離である…

「パンデミックで悪化した階級間の壁 ~フランスにおける新型コロナ感染症対策の自宅閉じこもり違反者の報道から~ 7回目」 ソフィー・ビュニク 「Des barrières entre classes aggravées par la pandémie. À propos de la médiatisation du non-respect des mesures de confinement en France 7」par Sophie Buhnik

(昨年から断続的に地理学者のソフィー・ビュニクさんによる一連のエッセイを翻訳してきました。フランスにおけるコロナ禍の中で政府が国民に家にとどまり、会食を控えるように命令を出していた渦中で、富裕層を中心に、豪華な食事会が開かれていたことがこ…

「百歳の哲学者が語る人生のこと」 エドガール・モランの本が翻訳されました

哲学研究者であり、文学の翻訳者でもある澤田直教授が翻訳した最新刊がエドガール・モラン著「Lecons d’une siecle de vie (100年の人生の教訓)」(直訳)で、邦訳のタイトルは「百歳の哲学者が語る人生のこと」です。本書が貴重なのは、100年生きた人で初め…

2018年のフランス語弁論大会(日仏会館)での私の原稿

日仏会館ではフランス語での弁論大会を毎年やっていて私も2018年に登壇したことがありました。コンクールに臨んだ登壇者の多くは高校生や大学生で、50代の私は最長老だったかと思います。私は原稿が決勝出場に選ばれたので、登壇してフランス語でスピーチす…

アラン・コルバンの歴史学  翻訳者である小倉孝誠教授の語り

今回、「フランスを読む」では、再び歴史家アラン・コルバンを取り上げました。前回は1冊の本に集中しましたが、今回はコルバンの背後にあるフランスのアナール学派という大きな歴史学の系譜について、基礎からお話しいただきました。必聴です。歴史と言えば…

ドイツのグローガー理恵さんがもう1発「ウクライナ危機の責任は欧米にある」(ジョン・ミアシャイマー教授)

ちきゅう座のグローガー理恵さんは、ウクライナの戦争に関して、マスメディアが無視してきた非常に示唆に富んだ欧米の情報を発信していました。今回も、またそうした情報です。アメリカの国際政治学者ミアシャイマー教授によるウクライナ戦争の構造です。こ…

36年前、仏文学を教わった三野博司先生に新訳「ペスト」(カミュ作)についてお話しいただきました

YouTubeチャンネルの「フランスを読む」で、昨年、岩波文庫から71年ぶりのカミュ作「ペスト」の新訳を刊行した三野博司・奈良女子大学名誉教授にご登場いただきました。私は大学時代、三野先生に第二外国語のフランス語を教えて頂きましたが、今回、36年ぶり…

共和党大統領候補だったペクレッスさんの悲劇  敗れて借金王に

フランス大統領選で昨年末の一時期、マクロン候補を凌ぐ人気とメディアで脚光を浴びたのが共和党のヴァレリー・ペクレッスさんでした。エリートで見栄えもよく、実際、一時期は輝いていました。共和党は社会党と二大政党だったわけですが、2017年に続いて今…

日本の独自外交を放棄した岸田外交   岩田昌征教授の「露宇戦争をめぐるセルビア人の感覚」(ちきゅう座)を読む

日本が外交主権を持ちえないことを改めて示したのが今回のNATOに同調した岸田外交で、そこには日本がロシアとどう交渉するか、という視点が欠落して、米国に追随するだけの国家であることが改めて示されています。それをつづったのがちきゅう座の岩田昌征(…

ルモンドとTV

以下のルモンドの記事に、ルモンドが毎週日曜日にTV局のFrance Intelと協力して政治に関するインタビューを作っていることが書かれています。ルモンドはフランスの夕刊紙で、この前書きが何を意味するか、特に日本の私たちに何を示すか、と言えば、フランス…

アフガニスタンではタリバンが女性のブルカ着用を義務化 公務員女性が違反したら即刻解雇 さらに夫も処罰

5月7日にタリバンが女性にブルカの着用を義務付けました。頭部だけじゃなくて、頭からつま先まですっぽり覆う衣装です。ルモンドの報道ではここでいう対象となる女性は、幼すぎず、老いすぎていない女性を指します。すなわち、生殖の対象、セックスの対象と…

東京新聞・望月記者のペンと動画の併用記事の魅力

東京新聞の望月衣塑子記者の記事。菅元首相が安倍内閣の官房長官だった頃、記者会見で菅氏に何度も食い下がって質問を浴びせたことで著名です。政治部の記者が大半の中で、彼女は所属が社会部だったことで政治部の常識から離れて、自由な質問を発することが…

新しい勉強の形「ゴンクール賞日本」 大学の敷居を越えたZOOM読書会

前に一度、紹介しましたが、学生が選ぶゴンクール賞が日本でも昨年から始まり、3月末に第一回目のゴンクール賞日本の受賞作が発表されました。フランスのゴンクール賞選考委員会が途中まで選んだ候補作数作の中から、独自に日本で受賞作を選ぶのですが、学生…

ウクライナの報道にもやもやを感じる方にお勧めの記事さらに2点

先日、ウクライナの戦争に関する欧米の2知識人のインタビュー記事をお伝えしましたが、今日はさらにもう2つ。ちきゅう座というネット媒体のもので、書き手は塩原俊彦さん、本を何冊も執筆している方です。特にゼレンスキーとその仲間たちがどういう人物かに…

国際ニュースの読みどころ  兵器輸出に注目したい

国際ニュースの読みどころと言いますか、必ず着目すべき点は、国際間の兵器の売買です。国際間の武器の輸出入の数字を見れば、表社会で政治家たちが訴えていることと、裏側の本音との乖離が必ず見えてきます。今のウクライナにおける戦争もそうです。兵器は…