「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

Entries from 2022-02-01 to 1 month

戦後の方針を転換してウクライナ政府軍に兵器を送り始めたドイツ  

ポリティコによると、ドイツ政府が戦後の平和政策を転じて、兵器を紛争地域に直接送り始めた。ドイツのオラフ・ショルツ首相はロシアのウクライナへの侵攻が戦後の欧州のシステムを壊しているので、それを阻止するためだと説明。 www.politico.eu www.dw.com

真を突くトマス・フリードマンのNYTコラム  ウクライナ侵攻の背景

トマス・フリードマンはニューヨークタイムズのコラムニストで過去にはピューリッツア賞も何度か受賞したジャーナリストです。ロシア軍のウクライナ侵攻直後に載せた「This Is Putin’s War. But America and NATO Aren’t Innocent Bystanders.」は、NATO側の…

ゼレンスキー大統領がロシアとの交渉に応じる構え  ただしベラルーシ国内ではなく、ベラルーシとウクライナの国境で

ニューヨークタイムズの最新情報によればウクライナ軍の抵抗とそれを後ろから支える欧米諸国を目に、プーチン大統領は核戦争チームを位置につかせました。ウクライナのゼレンスキー大統領はベラルーシとウクライナの国境でロシアとの交渉に応じるとしていま…

The Intercept が ロシア政府のTVチャンネルがウクライナ侵攻前にFOXニュースによるバイデン政権批判を紹介していたことを報道

The Interceptは米国の報道メディアです。ロシアの国営放送が米国のFOXニュースの報道番組から、バイデン政権批判にロシア語字幕を付けて報道していたことを紹介していました。このバイデン大統領批判というのは、私が紹介してきた考え方と視点は同じで、<N…

France24の報道  国際政治のシンクタンクの仏女性によるプーチン大統領の意図の解説 / プーチン大統領がウクライナ二州の独立を承認

ジョゼフィン・スタロンさん(シンクタンク「Synopia」のディレクター)によるプーチン大統領の動機に関する解説。これはFrance24の報道番組で、後半は国連安全保障理事会でのロシア制裁案に中国やインド、アラブ首長国連邦などが反対したことを報道。 www…

仏ルモンドのウクライナ動画

フランスの新聞、ルモンドの動画にウクライナからの動画を短くまとめたものがUPされていました。侵攻2日目。この中には、ロシア軍の対空ミサイル装甲車の侵入や、避難のために駅に殺到する市民、ロシア軍の侵攻を遅らせるための工夫、両国の首脳のメッセージ…

ウクライナ戦争で、日本国内の核武装論は強まるだろう

ロシア軍のウクライナ侵攻と、イラク軍のクウェート侵攻と、それを非難する欧米国家の姿勢は変わらないものの、そのカウンターに対しては圧倒的な違いがあるでしょう。ロシアが大量の核兵器を保有しているために、対サダム・フセイン大統領の時のように米軍…

ロシアの外交は見せかけに過ぎなかった、と米側が弁明  しかし、識者はNATOが「ウクライナを加盟させない」と言明していれば戦争にはならなかったと語る

ニューヨークタイムズのこの記事ではロシア側の外交は見せかけに過ぎなかったとして、米側に落ち度はなかったという要人の声を紹介していますが、片方で、NATOがウクライナを加盟させないと言明していればプーチンを説得できたはずだという数人の声を紹介し…

露軍のウクライナ侵攻 ニューヨークタイムズ続報では

ウクライナ情勢。 ニューヨークタイムズ続報。ロシア軍が抵抗にあい、少し停滞気味であると書いています。この記事で目を引くのは、ロシア軍の目的がウクライナ政府要人を抹殺することとされ、まだロシア軍が大統領を含めて政府要人の隠れ場所を突き止めるこ…

冷戦終結後に起きたNATOとEUの東進政策  第一次大戦前夜の汎・・・主義との類似

今回のロシアのウクライナ侵攻は、ロシアのアグレッシブなところが目に付くのですが、実際にはNATO側のアグレッシブな東進政策がそれを引き起こしたのだとアメリカの政治学者や欧州の知識人は正確に理解しています。NATOの偽善が存在しているというのです。…

アメリカの幸福な絵本作家の死(101歳)についての記事  

以下はレナード・ケスラー(Leonard Kessler)という子供向けの本を多数書いた絵本作家の追悼記事です(ニューヨークタイムズ) 「Leonard Kessler, Colorful Children’s Book Author, Dies at 101」 ttps://www.nytimes.com/2022/02/24/books/leonard-kessl…

経済学者ポール・クルーグマンの提案する対ロシア制裁案は自らの陣営の腐敗も同時に始末できる

米経済学者のポール・クルーグマンは軍事・戦略とは違って、経済の視点から対ロシア制裁案を提言しています。ロシアの富裕層は海外に莫大な資産を隠し持っており、ロシアのGDPの85%にも匹敵する莫大な率に上ると推定しているのです。この海外資産を差し押…

ロシアの作戦勝ちだと指摘するクリス・ミラー氏(タフツ大学)

米タフツ大学で国際史を専門にしているクリス・ミラー氏(助教授)が、相対的な経済力で劣るロシアが、過去20年間に兵力を底上げし、この数年、ジョージア、ウクライナ、シリアなどで軍事的・戦略的に成功を収めてきていることを指摘しています。 www.nytime…

ロシアのウクライナ侵攻  知っておくべき瞠目必見の欧米の動画3つ 

1 核戦争の危険性 www.youtube.com ウクライナの電力の半分は原発によるもので、15基ある原発が爆破されれば欧州全域が汚染される可能性がある。また米ロの全面核戦争のリスクもある。プーチン大統領はNATOが軍事介入すれば核戦争も辞さないと宣言している。…

愕然としたD.W.グリフィス監督の「國民の創生」(1915)  「イントレランス」の前年の公開とは信じられない落差

D.W.グリフィス監督の「國民の創生」(1915) を見て、愕然とした。とくにその第二章である。人種差別主義者の殺し屋集団KKK(クークラックスクラン)を英雄視するとは。「イントレランス」(1916)が興行的に失敗し、「國民の創生」がヒットしたという事実はな…

映画の父、D.W.グリフィスの「イントレランス」(1916)を見る ~世界戦争前夜の今こそ見るべき傑作~

けっさく D.W.グリフィスの「イントレランス」(1916)と言えば、映画の歴史では必ず言及される作品で、グリフィスは映画の父と呼ばれさえしますが、私はこの作品を今まで見る機会がありませんでした。今日では著作権も切れていますし、YouTubeの映像の画質…

「説得する」という動詞   coax とpersuadeの違い 

戦争の危機に陥っているウクライナ情勢についてのニューヨークタイムズの記事。これはロシアと中国が、長年の対立を越えて、権威主義政権のリーダー同志、関係がよくなっていることを示す記事です。もちろん、アメリカ人から見ると、少なくともウクライナ情…

ジョン・ミアシャイマーの講演 中国と米国

シカゴ大の現実主義派(リアリズム派)政治学者のジョン・ミアシャイマー教授による米中関係に関する講演。ウクライナも、台湾の問題も含めて、第二次大戦後の世界体制が崩れ、新しい秩序(?)が現在、再構築されつつある。1945年以来の大きな波が世界を襲…

「ウクライナは中立にとどめるべきだ」 シカゴ大の現実主義政治学者

以下はシカゴ大学のリアリズム派の政治学者ジョン・ミアシャイマーによるウクライナ問題への講演(2015年)。NATOとロシアの間に、勢力のバッファーゾーン(緩衝地帯)を設けておくことがNATOにもロシアにも、ウクライナにとっても良いのだと歴史をひも解き…

ウクライナ情勢  米大統領は数日以内に戦争開始と確信

ウクライナでは独立派による情報攪乱工作が起きて、ロシア系住民にロシアへの避難勧告が出されたとされ、そのTV映像もBBCで報じられました。プーチン大統領はそれを口実にウクライナへ侵攻するシナリオだとされます。 一方、米国の「デモクラシー・ナウ!」…

米コラムニスト P.J. オロークの死

P・J・オロークが死んだ、と言っても日本ではほとんど関心がもたれないでしょう。しかし、1980年代末あるいは90年代半ばまでは、知る人ぞ知る存在だったかもしれません。アメリカのコラムニストで、コラムという「文化」が日本で紹介されたのは1970年代から1…

ジェームス・M・バーダマン著「この言いまわし 英語でなんていう?」

ジェームス・M・バーダマンは早大教授で、英語学習上のコツを何冊も出版しています。これもその一冊です。実は何年も前から持っていましたが、最近、この本への見方がぐっと変わってきました。もちろん、前から良い本だとは思っていましたが、最近、海外の取…

極端な肥満から女性が糖質オフの食事療法で、もとの体系を取り戻したサクセスストーリー

このダイエットドクターというチャンネルは、糖尿病や肥満の治療に取り組んできた欧米などの医師たちが立ち上げたものです。この動画はその1つで、極端な肥満から女性が糖質オフの食事療法で、もとの体系を取り戻したサクセスストーリーです。動画ではそれ…

グルノーブルの書店が世界中のフランス書籍の読者に向けて、送料無料で取り寄せできるシステムを開発中・・・

フランスのグルノーブルの書店主が、フランス語の書籍を世界各地の購買者が、送料無料で購入できるシステムLireka.comを構築中との嬉しい記事。とくに、「欧明社」が閉店を発表した今、それに代わる本の購入ルートが1つできるのは光明です。 www.franceinte…

スウェーデン人で糖質オフを推奨する医師の講演「A global food revolution」を聴いて

最近、糖質オフという言葉を身近に感じるようになりました。かれこれ10年くらい前から実行している人はいたようですが、私は名前こそ聞いていたけれど、特殊な偏った食事療法のような気がしていました。しかし、書店にいくと最近はかなり糖質制限あるいは糖…

フランス専門書籍「欧明社」が今月限りで閉店 

フランスの書籍を読む人にとって、欧明社を知らない人は少ないだろう。地方在住者にとっても語学のテキストなどに広告が出ていたので知っている人は少なくないと思うのだ。欧明社は東京の飯田橋駅の周辺にある老舗書店で、三島由紀夫や川端康成らの文豪も本…

フランスを読む #18  谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」のフランス語訳について

みなさん、1か月ぶりです。今回のYouTubeチャンネル「フランスを読む」は、谷崎潤一郎作「瘋癲老人日記」のフランス語版について。これも1か月ぶりです。語り手はパリ大学の坂井セシル教授です。ZOOMで録画を行いました。私が谷崎の作品を読んだのはこれが初…