「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

Entries from 2022-03-01 to 1 month

日本の大学生が選ぶゴンクール賞 第一回目の受賞作が決まる

昨日、3月29日、日本の学生が選ぶゴンクール賞が決まりました。10月から大学生を中心にフランスのゴンクール賞候補作9作から、学生たち自身で選考して、約5か月間で4冊の小説を原書で読み、選考のための議論を積み上げてきたのです。そして、昨日全国5地域の…

フランスを読む 22回目 ペリーヌ・ル・ケレック詩集「真っ赤な口紅をぬって」

「フランスを読む」では22回目の今回、詩集をご紹介します。ペリーヌ・ル・ケレックという名前の女性の詩人による「真っ赤な口紅をぬって」という詩集。原タイトルは「Rouge pute」(字面通りに訳せば、売春婦の赤)で、罵倒の言葉であるとお聞きしました。…

「フランスを読む」YouTube チャンネル開設から1周年  

「フランスを読む」というYouTubeチャンネルを昨年の今時分の立ち上げて、1年がたちました。毎回、10分ほどでフランスの本1冊を翻訳家や作家、教授、ライターなどの方々に話していただいています。コンテンツは20本ですから、平均すると1か月1本~2本の生産…

デビッド・ハーベイによるウクライナ戦争への考察

経済地理学者のデビッド・ハーヴェイ教授が、ウクライナ戦争の背景にあるNATO諸国の考え方の誤りをつづっています。これは冷戦終結後の歴史から考察する、と言う点ではすでに私が紹介した人々と通底しています。そして、また共感したのは、戦争がどうい…

テレビ東京のネットニュース  北方領土返還に関する共産党の考え方を報じた篠原記者の興味深い解説

私はテレビ東京のネットニュースを興味深く時々見ています。以下のニュース解説もとても面白かった。 北方領土問題と共産党/意外な共産党の「強硬」姿勢の論理とは【テレ東 官邸キャップ篠原裕明の政治解説】(2022年3月11日) www.youtube.com

ペリーヌ・ル・ケレック詩集「真っ赤な口紅をぬって」 (相川千尋訳)  フランスのDVやレイプ被害者の心の声をつづった詩集

私は男性なわけですが、フェミニスト詩集をご紹介いたします。ペリーヌ・ル・ケレック詩集「真っ赤な口紅をぬって」(相川千尋訳)。これはフランスのDVやレイプ被害者の心の声をつづった詩集で、作者は被害者から行った聞き取り調査をもとにこの詩集を書い…

アインシュタインがいた米プリンストン大学がNATOとロシアの核戦争をシミュレーション  欧米で9000万人が速死あるいは負傷

www.youtube.com sgs.princeton.edu

中江兆民とパリ  フランスの知識人が兆民3部作をフランスで出版

中江兆民と言えば「東洋のルソー」と呼ばれ、社会契約論を漢文に翻訳したことで日本人だけでなく、中国人、朝鮮人、ベトナム人などにも新しい思想を紹介したことで知られます。また、自由民権運動の中心人物の一人でもあります。その兆民の研究をフランスで…

ロシア出身の作家アンドレイ・マキーヌ(ゴンクール賞)の意見がまっとうすぎる

ロシア出身でフランスで活躍している作家、アンドレイ・マキーヌのウクライナ戦争に対する意見がまっとうすぎて感動すら覚えた。マキーヌは「フランスの遺言書」という小説でゴンクール賞を受けたロシア出身の作家で、この本はフランス人を祖母に持ったソ連…

モサド元長官の意見  露軍をどうすればウクライナから撤退させられるか

モサド元長官の意見は面白いですし、説得力があります。「通常戦力において、ロシアがウクライナに対し明確かつ圧倒的に勝っていることを考えれば、この作戦はプーチンにとって一見、自滅的にも思える。これほど早い段階でプーチンが核による脅しを持ち出す…

日本の存在感を示したTV東京のモスクワの街頭の声の取材

TV東京がモスクワ市民の声を伝えています。これはTVではできない番組で、時間制限にとらわれないインターネットだからできる報道ですね。と、同時に、西欧の主流メディアがロシア非難色が強い中で、日本のメディアとして、客観的、あるいは中立的な立ち位置…

フランス語の発音レッスン コロナ禍で文字中心のコミュニケーションから会話中心のコミュニケーションへ

パリのフランス人の知人の息子さんに、昨秋、フランス語の発音レッスンをお願いしました。フランス語を再開して20年くらいたった今頃やることか、と思いますが、何事も遅すぎるということはありません。今、インターネットが進化していることで、いろんな学…

BBCのウクライナ特集

BBCによるウクライナ特集。軍ではなく、ウクライナ市民の状況が描かれています。 www.youtube.com

脱走兵の歌  Le déserteur

名優のセルジュ・レジアニが「脱走兵の歌」を歌っていました。偶然でしたが、今こそ、聞きたかったのはこの歌だったことを感じたのでした。 www.youtube.com 有名な反戦歌で作ったのは作家でジャズ音楽家でもあったボリス・ヴィアン。ヴィアンは今でこそ有名…

鮎川俊介著「波濤の果て 中江兆民のフランス」(郁朋社)

YouTubeチャンネルで、中江兆民の研究をしているボルドー=モンテーニュ大学のエディ・デュフルモン教授の話を収録して編集していますが、その過程で鮎川俊介著「波濤の果て 中江兆民のフランス」(郁朋社)を読みました。私は中江兆民については、ルソーの…

谷崎潤一郎作品のフランス語訳をフランス語で解説  「フランスを読む」の試み

YouTubeチャンネル「フランスを読む」では、今回、パリ大学の坂井セシル教授に彼女自身が翻訳した文豪・谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」について話していただきました。ただし、18回目が日本語だったのに対して、今回はフランス語です。これはフランス人やフラ…

ロシア軍のウクライナ侵攻  トマス・フリードマンは3つの終結シナリオを紹介

ニューヨークタイムズのジャーナリストでコラムニストのトマス・フリードマンはロシア軍のウクライナ侵攻がどういう形で決着する可能性がありうるかを3つに分類して書いています。 1)最悪のシナリオ・・・プーチンの仕掛けた試みがナチスレベルの悪にまで…

アンドリュー・コックバーン氏(ジャーナリスト)、ティモシー・スナイダー氏(歴史学者)へのインタビュー  ロシア軍のウクライナ侵攻

ジャーナリストのアンドリュー・コックバーン氏とイエール大学の歴史学教授、ティモシー・スナイダー氏が「デモクラシー・ナウ!」のインタビューでウクライナ問題に言及しています。 www.democracynow.org

アメリカの知識人の陥る視野狭窄の典型がここに

ニューヨークタイムズのコラムニスト、ブレット・ステファンがウクライナ侵攻について述べたコラムは、確かにその通りだと思います。ロシアのウクライナ占領を赦し、傀儡政権の発足を許容してしまうと、さらにプーチンの野望はエスカレートし、中国の野望を…

「ニュースの三角測量」の必要性  複眼で見ることの大切さ

私はこのブログのタイトルを「ニュースの三角測量」としました。これは国際ニュースでは多角的に問題を見つめて行くことが大切であることを示しています。どういうことかと申しますと、国際ニュースというものは国や地域、言語や文化圏によって、同じ出来事…

ドイツDWの英語放送でウクライナの状況を見る

ドイツのDWの英語放送でウクライナの状況を見ています。ウクライナの市民の肉声が紹介されており、非常に興味深い報道です。次第に食料や水などが不足し始めており、市民は窮地に陥っています。 www.youtube.com

中江兆民の「三酔人経綸問答」に今を見出す

私はYouTubeチャンネルの「フランスを読む」をやっていまして、このところ、フランスの大学教授の方々にZOOMを使った本の講演をお願いしています。今、編集を終わったのが谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」のフランス語版の講演でして、日本語でも語るし、フラン…

「ウクライナ危機」:米国/NATOによる長年の威嚇を許し、ロシアを悪魔視するだけでは平和は訪れない~米国平和団体CODEPINKの呼びかけの日本語訳

以下はちきゅう座から転載です。「ピースフィロソフィー」によるウクライナ問題への論考。というか、国際的な平和団体の論考を訳したものです。歴史を踏まえた人と、感覚だけで書きなぐっている人との違いが如実に見える文章です。 chikyuza.net