France Has ‘Overwhelming’ Responsibility for Rwanda Genocide, Report Says
「フランスはルワンダの虐殺に大きな責任があると報告」(ニューヨークタイムズの見出し)
1994年にルワンダで起きた80~90万人に及ぶ少数民族ツチ族への虐殺事件に関して、フランス国家がどう関わっていたのか、その歴史的責任はどうなのかを検証してきた歴史学者15人で構成される検証委員会が結論を出しました。その記事は前のブログでフランスのソースをもとに紹介したところですが、今回は大西洋を隔てるニューヨークタイムズがどう書いたかを読んでみました。この事件はまさにアフリカにおけるフランス植民地主義とアメリカの植民地主義が背景にあるだけに、米側の記事も興味深いものがあります。
まずニューヨークタイムズの3月26日の上のタイトルの記事を読んで「おっ」と思ったのは、記者が日本人でOnishi Norimitsuと署名があることです。日本人の記者が書いているのです。この人はニューヨークタイムズのパリ支局で取材をしているということです。
ニューヨークタイムズ版で理解できて、それまでのフランスの記事で気づかなかった点は、現在のルワンダ大統領が少数民族のまさに被害を被ったツチ族出身のポール・カガメであることです。マクロン大統領が肝入りで歴史学者たちに検証させたのは事件をめぐって関係が悪くなったルワンダとの関係を改善したいと思っている節があるということでしょう。そのために国家機密も含めて歴史学者たちに自由に関係するフランス国家の公文書類にアクセスさせたとされます。マクロン大統領の意図をどうとらえるか、どう書くかは記者の筆先一つですが、ニューヨークタイムズにはアメリカならではの視点が感じられます。とはいえ、全体の基調はフランスのMediapartと同じで、問題の根源には当時のミッテラン大統領たちの植民地主義があったとしています。
ところでこのOnishi Norimitsu記者はかなり優秀なジャーナリストらしく、日本生まれで、日本語と英語とフランス語の三カ国語を流ちょうに話し、日本の孤独死の問題や、福島の原発事故などの取材もしており、これまでチームの報道でピューッツアー賞にも輝いているとのこと。注目の記者です。