「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

ニューヨークタイムズのハイテク担当記者の挑戦

  今、ニューヨークタイムズ(NYT)で読みたい記事のジャンルの1つがハイテク。アマゾンやグーグル、アップルやフェイスブックツイッターなどの企業は、さらに世界に変化を起こしていくでしょう。未来をうかがう意味で、NYTのハイテク担当記者、カーラ・スウィシャー(Kara Swisher)の一連の記事は興味深いです。

 たとえば、下の企画ですが、通常とちょっと違います。

https://www.nytimes.com/2021/03/29/opinion/sway-kara-swisher-amy-klobuchar.html?action=click&module=Opinion&pgtype=Homepage

  内容は1月の極右による議会占拠事件を受けて、フェイスブックやグーグル、ツイッターのトップらが米議会に召喚されてヘイトスピーチなどを放置してこなかったかということが問われたばかりですが、その延長線上でスウィシャー記者が上院議員のエイミー・クロブシャーに質問したものです。その柱は独占禁止法とハイテクの大企業です。クロブシャーは昨年、民主党の大統領予備選に出ていたミネソタ州の大物議員です。

 今までと違って、議会が襲われた今、これらの企業に対するアプローチはもっと厳しくなったと言います。この質疑応答は43分の録音としてNYTで公開されています。上のリンクです。文字起こしもつけられています。NYTは活字メディアだけでなく、今やラジオでもあります。カーラ・スウィシャーは毎週月曜日と木曜日に「Sway」というシリーズとしてこうしたインタビューの録音をUPするとしています。これはデジタル版ならではです。デジタル版の特徴は紙版と比べて記事のボリュームが大きくてもよいことと、映像や音声メディアとしても記事を展開できることです。ハイテク記者がまさに率先して、その実践を行っている印象です。

  カーラ・スウィシャーの記事の中で最近面白かったものに、電気自動車メーカー「テスラ」の創業者イーロン・マスクやアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスらはなぜ宇宙に行きたがるのか、というものがありました。

Why Are Elon Musk and Jeff Bezos So Interested in Space?

  この見出しの記事を読んで納得したのは、彼らの宇宙に対する感覚が庶民とまったく違っていることを理解できた点です。私などからすると、遠い未来のSFみたいな感覚がありますが、彼らにとっては未開発の地域に鉄道を敷設するくらいの身近なテーマなのだということが。記事によるとイーロン・マスクは2026年までに火星にスペースXによる民間ビジネスとしてお客さんらを送ると言っているそうです。地球上の生命は隕石によって地球の外から運ばれてきたと言われていますから、火星に人類が旅行することも人類史からかけ離れたものとは言えなくなりつつあります。そうした感覚はすでに若者たちの宇宙観をすでに変えているのではないか、と思われます。昔、アメリカ合衆国に連れられてきた黒人たちの先祖の歴史を掘り起こしたアレックス・ヘイリー作「ルーツ」のTVドラマ化作品が大ヒットしましたが、生命の「ルーツ」を見つめる宇宙の旅が庶民の心をとらえる時がそこまで来ているように思います。資本主義の発展の過程で、19世紀に観光ツアーが開発された時の歴史と重なって見えます。実を言えば、この記事を読むまでそうしたことを私は考えたことがありませんでした。