「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

Asian Lives Matter

  昨年5月、ミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白昼、公道で警察官に首を抑えられて窒息死するという衝撃的な映像がインターネットで流れて以来、Black Lives Matter(黒人の命を大切にせよ:BLM)というスローガンが何度も何度もいろんな場所で、いろんな形で示されてきました。日本人の血も入っているテニス選手の大坂ナオミ選手もBLMを明示しています。

 そんな中、ニューヨークタイムズで昨日、最新の記事が出たのは「Asian Lives Matter」でした。アジア人の命を大切にせよ、というものです。アトランタのスパ施設で働くアジア系の女性たちが6人銃撃されて殺された事件(8人殺害されたが、うち6人がアジア系だった)が話題になったばかりですが、その背景にはCOVID-19(新型コロナウイルス)による経済難とそのストレスがあると想像されます。そして、今回フィリピン系の65歳の女性が襲われた場所はニューヨークのタイムズスクエア。突然、見ず知らずの男性からフィリピン系の女性はおなかに蹴りを入れられ、罵声を浴びせられながら倒れた後も繰り返し頭部を蹴られたそうです。その男性は「You don't belong here」(お前はここの人間じゃない)と叫んだとされます。ニューヨーク市長やニューヨーク州知事は事件を強く非難しています。犯人のこの男性は逃亡中とされます。

  この記事で印象深かったことは、アジア系の人の発言でした。監視カメラの映像を見て、フィリピン人の女性が公道で襲われている中、誰一人彼女を助けようとしなかったことが怖かったと発言しています。

 Reports of anti-Asian hate crimes have risen sharply during the pandemic, often triggered by people falsely blaming Asian-Americans for spreading the coronavirus, according to police departments across the country.

「アジア人を対象にしたヘイトクライム事件は新型コロナウイルスが始まって以来、急激に増えています。各地の警察によると、アジア人が新型コロナウイルスの感染の広がりの元凶という風にしばしばスケープゴートにされているのです」(ニューヨークタイムズ

 経済的に困窮した人々がその原因を自分とは異なる人種、特にマイノリティに求めるのは普遍的な構図です。苦しみの真の原因を突き止める、というよりも、むしろ自分より弱い存在に対して暴力事件を起こしてしまうことが多いのです。