「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

投票をめぐる争い 米国 共和党の投票制限に反対の動き 大企業をどこまでコミットさせられるか

  昨日、ジョージア州で住んでいる地域でもっと住民が投票しやすくなるdropboxの設置などを、共和党主導の州議会で制限する州法が制定されたことを書きました。この件はジョージア州だけでなく、テキサス州その他でも法制化の動きが起きているようです。一方、それに対抗して企業リーダーたちに反対に加わってもらおうという人権擁護派の弁護士事務所グループの動きが起きています。

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 ニューヨークタイムズの記事によれば企業主に結束を求めて呼びかけている人の中にはブラッド・カープ氏という人がいて、この人はポールワイス(Paul Weiss)という有力な弁護士事務所の弁護士です。ポールワイスは調べてみると、1960年代の公民権運動時代から平等な投票制度を作るために最高裁などで闘ってきた弁護士事務所です。ポールワイスを始め、名だたる弁護士事務所が投票を制限する法制化に抵抗しているとのこと。弁護士事務所にはSkaddenや Cravath, Swaine & MooreやWachtell Liptonなどが含まれます。共和党としては将来に向けてますます移民やその子弟、あるいは貧困層が投票可能になっていく事態をできるだけ遅らせたいところでしょう。

  テキサス州は大企業がますます拠点を置きつつあると書かれています。私の記憶ではリーマンショックが起きた後に、米製造業の地理的な移動が北部のミシガン州周辺からテキサス州ジョージア州などの南部に向かって置きました。南部は労働組合加入率が低く、労賃が低くても労働者が確保しやすい未開拓ゾーンなのです。州当局も様々な税上でのサービスや人材教育支援を行って、企業誘致を歓迎しています。米民主党は企業課税を21%から28%に上げようとしていますから、大企業にとっては本来は共和党の方が税金の面では助かるはずです。しかし、一方でバイデン大統領は製造業の米国復帰を促しており、米国内で製造業を行い、雇用を増やす企業にはインセンティブを与えるはずです。

 人権派の弁護士事務所群が共和党の投票制限に反対を呼びかけ、その声に加わる企業も出てきていますが、まだ様子見をしている企業も多いようです。電気自動車や宇宙プロジェクトのテスラもテキサスに製造拠点を移し始めていますが、未だ沈黙を保っているとニューヨークタイムズは指摘しています。

    JETROの以下のニュースはテスラがテキサス州に工場を建設するという昨年夏の発表です。以下にテキサス州地方自治体が歓迎しているかがわかります。敷地は東京ドーム18個分で「約5,000人の従業員を平均年収4万7,147ドルで雇用する予定。また、テキサス州最低賃金時給7.25ドルのところ15ドルを保証し、医療保険や有給休暇などの福利厚生も充実させるとしている。2021年末の操業開始を目指す」とあります。コロナ禍の真っただ中で発表されただけにそのインパクトは想像できるでしょう。バイデン大統領は米国の自動車の電気自動車化を打ち出し、充電ステーション50万か所の設置を経済政策にあげています。今、大きな影響力のあるテスラが新投票法にどういう声明を出すか、あるいは出さないかは大きな違いとなるのです。

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