「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

フランスの女性作家が語る「この法律では18歳以上はインセスト(近親相姦)を合法化することになる」

  フランスで1月に未成年の少年が義理の父親から性的な関係を強いられていたケースが1冊の本の中で暴露され、大きな問題になっていたことはお伝えしました。今、フランス議会でこの対策が法制化されようとしています。15歳未満の少年少女はたとえ性的関係を持つことに合意があったとしても大人の側は法的処罰の対象となり得ること、さらにインセスト(近親相姦)の場合は18歳未満まで延ばされています。

  しかし、この子供を家庭内の性的強要あるいはインセストから守るための法案に、女性作家クリスティーヌ・アンゴがそのリスクをリベラシオン紙で語っています。むしろ、この法律は18歳以上の近親相姦を合法化するのに等しい、と。

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  クリスティーヌ・アンゴはTVの討論番組でもおなじみの論客でもありますが、少女時代に父親にレイプされたことを公言した人としても知られています。リベラシオンでもその被害者の立場を通して語っています。子供のレイプの問題と近親相姦の問題を混同しているから、合意の必要な「年齢」を論じているが、近親相姦の問題はそんな問題ではなく、たとえ18歳以上で合意があろうと、親子間のセックスやカップルの合法化は社会の基盤を崩してしまうと警告しています。そして、アンゴは問題の本質は愛の関係にあるのではなく、権力の関係にあるのだ、と言っています。権力関係という見地では学校の教師と生徒の関係も重なってくるでしょう。

 子供にとっては親の性的強要を拒んだ場合に、家庭内でどんなに居心地が悪くなるかわかったものではありません。そして、非正規雇用が増えて、独立して住居の持てない子供たちが親と同居するケースは増えています。このことは歴史学者のイヴァン・ジャブロンカが書いたノンフィクション「レティシア」のテーマとも関係しています。そこでは家庭の事情で里親に出された双子姉妹が里親から性的強要を受けつつも、追い出されることを恐れて耐え忍んでいた事情を思い出させます。社長や上司のセクハラとも通底します。家族の場合は親との関係が悪くなると、自分の最初の生きるためのよりどころがなくなってしまうのです。

 18歳で合意があれば親子でカップルになってもよくなるのであれば、両親が離婚して、子供と再婚するケースもあるのでしょうか?日本の民法では親子では直系の結婚できませんし、三親等内の傍系血族などとも婚姻ができなくなっています。

  

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   上は1999年の録画。クリスティーヌ・アンゴが「インセスト」という自伝的な内容を持つ小説を書いた時の討論番組。