「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

オルタナ右翼YouTuber,ローレン・サザンの映像を見た 「パリの通りで」

   オルタナ右翼、英語でAlt-Rightと表現される右翼のYouTuberにローレン・サザン(Lauren Southern)というカナダ人の女性がいて、 現在65万人以上のチャンネル登録者を有しています。彼女について知ったのはオルタナ右翼の元YouTuberのインタビュー記事からですが、いったいどんな映像なのだろうと思って見てみました。以下は「パリの通り」と題する7分31秒の映像で、延々通りを歩きながら町の人々を撮影したものですが、大半が黒人や有色人種、ムスリムたちです。

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 このビデオの最終地はパリ18区でかつて私が滞在していたあたりなので、土地勘がありますが、移民が一番多い地域です。バルベス(Barbes)と呼ばれていて、ムスリムやアフリカ系が目立ちます。彼女はナレーションや編集こそ加えていませんが、撮影場所は狙っていますね。ここはパリの中心地区ではありません。彼女は「アパートを出てから45分撮影した」とコメント欄で言っていますが、この映像はそもそも7分31秒しかありません。しかもアパートの場所も明かしていません。45分と7分31秒では雲泥の差があります。このテクニックは一部だけを切り取って、あたかも全貌に見せるテクニックです。ノーカットであったとしても、撮影場所の選定に意図があるわけです。実はTV報道でも意図的にニュースを誘導したい時に使われるものと思います。たとえば部屋のきれいな一角だけを背景にして、Zoom会議に参加するみたいなものでしょう。もしそれが真の報道であれば、映像で描かれた現実が実際のパリでどのくらいの現実の反映なのか、数値的なデータあるいは説明をつけるはずなんです。

 このビデオはナレーションなし、編集なしで、心象に刻まれるようなエモーショナルな音楽がつけられています。ナレーションなしで延々と見せる手法がきっと白人至上主義者やナショナリストの心に突き刺さるのだろうと感じます。確かに移民が増えているという現実はあります。しかし、この映像はある一地域の現実を表してこそいますが、パリの全体を代表しているわけではありません。

  ローレン・サザンは25歳と若いのですが、すでにカナダのリバタリアン党から政治家に立候補したこともあるようです。以下のロイター通信の記事ではサザンが極右活動家としてマークされて、英政府当局から入国禁止措置を出されたことが書かれています。

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  前に書きましたように、米国では白人が2040年代にはマイノリティに転じるということで危機感を持つ白人至上主義者がいます。カナダにも同様の思いを抱く人はおり、もちろんフランスにも存在するでしょう。以下のニューヨークタイムズはこのサザンのビデオ製作にも協力したことのあるオルタナ右翼だった若者のインタビューで、アクセス数を増やす様々な手法が語られています。またYouTubeアルゴリズムでより過激な映像が出てくる仕掛けになっていることも語られています。

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