「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

イスラエルから原爆を買う  日本の核武装の可能性

 日本は核武装を何故しないのか、と疑問に思う人は外国人にもいます。私は核武装に反対の立場ですが、日本政府はひそかに核兵器開発を進めているかもしれないと思っています。プルトニウムも大量にたまって、核兵器を作ることは可能です。しかし、それでも日本が核武装することは広島や長崎の有権者に対して選挙で自民党への支持が得られなくなる恐れが高いです。広島・長崎だけでなく、日本の多くの人が核兵器に反対するだけでなく、原発にも反対しています。それでももう1つの可能性があるのです。それは原爆を購入することです。

 どこから買うか、と言えばイスラエルでしょう。イスラエルは原爆を多数有していますが、国際社会的には原爆を持っていないことにして曖昧政策を取っています。その理由はゴルダ・メイヤ首相の時代に、当時のニクソン大統領との対談で、米国はイスラエル核武装を認める代わりに、核武装したことは一切口外しないことが約束されたとされます。このことはニューヨークタイムズで私は読みました。ですから、イスラエルから原爆を日本が買ったとしても、そもそもイスラエルは原爆を持っていないことになっているので、持っていない国から原爆を買うことはありえない、ということになるのです。米国の承認は恐らく、そんな形になるのかもしれません。こうすることにより、原爆実験を経なくても原爆を何十発か日本は保有することができるのです。そして国際社会ばかりか、日本国民に対しても密約みたいに核武装していることを国家機密にして秘密にしぬく可能性があります。

  2014年末に法制化された特定秘密保護法核武装の準備を国家機密として、市民やジャーナリストの目から隠すために使われるはずです。特定秘密保護法の背景にはイスラエル核武装が関係者から記者にリークされた事件が関係しているのではないでしょうか。イスラエル南アフリカで原爆実験をしたと書かれていた記憶があります。イスラエルがなぜイランの核開発に非常に神経をとがらせているかと言えば自分たち自身が「原爆など開発していない」と噓をつきとおしたからに他なりません。シーモア・ハーシュベトナム戦争時代に米軍のソンミ村での虐殺事件をスクープした記者ですが、イスラエルの核開発の経緯を調査報道した「サムソンオプション」という本を書いています。

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シーモア・ハーシュ著「サムソンオプション」

 イスラエル以外に核武装の協力をしてくれる国としてはフランスがあるかもしれません。核戦争は本来、最悪の恐怖のはずですが、そうは思わない人々が増えてきています。宗教原理主義者がそうですし(神の国に行けるのです)、核戦争で死ぬよりは友達からいじめられる方が辛いという人もいるでしょう。米国で銃の乱射事件が多発していますが、原爆がそのようにいつか使われない保証はありません。そればかりか私は核戦争は近い将来、日本と中国で起きうると思っています。

 それとは別に、核廃棄を進めるために核武装をする、という考え方すらあります。核兵器を多数保有して核クラブに参加して発言力を持つことで、東アジアの核兵器の撤廃条約を結ぶというものです。中国と北朝鮮核兵器を封じるためには日本が多数の核兵器を持つ必要があるという論者は増えていくでしょう。自分が多数持つことで初めて、米国やロシアも含めて、核兵器削減交渉のテーブルにつける、というものです。広島、長崎の過ちを繰り返さないために、なるだけ強力かつ多数の核兵器保有する、という思想です。一見、狂気のようですが、いつまでも核兵器がなくならないばかりか、むしろ保有国が増えている現実についに我慢の緒が切れて、このように現実直視で考える人は今後は出てくる気がします。

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