「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

必聴 コメディフランセーズの俳優たちがリレー形式で「失われた時を求めて」を朗読 してYouTubeに公開

  「失われた時を求めて(原書では7巻)」はフランスの作家、マルセル・プルーストの大作小説で、これを全部読んだかどうかは大きな違いだと言う人もいます。俳優で歌手のイブ・モンタンは「私は人に私は誰かと聞かれたら、『失われた時を求めて』を読み通した人間です、と答えることにしています」と言ったと言われています。日本の集英社の翻訳では13巻にもなります。「ドン・キホーテ」よりもはるかに長い小説です。

 ちょっとしたきっかけから始まった記憶をきっかけに過去の世界を主人公は滔々と語り続け、その中に様々な人々の恋愛や葛藤、同性愛、芸術論、社交界の人間関係などが織り込まれ、作者の死で未完のまま終わったものの、最終的には小説についての小説、メタ小説でもあると言われ、最良の前衛小説(※)との評もあります。

  この小説をコメディフランセーズの俳優たちがコロナ禍の中、リレー形式で朗読してなんとYouTubeに放流しています!その朗読の素晴らしさと言ったらありません。もちろん、読み誤ってもう一度繰り返す時もあります。それでも必聴です。俳優たちは本ではなく、紙にプリントアウトされた原稿を前に1枚1枚読み上げていきます。それがみんな個性的で興味を引きます。「読む」という行為1つも、かくも表現豊かな芸術だったのか!と改めて思わせられます。今、フランスに限らず、演劇や文化の危機と言われる中でこれを聞くとさらにその美しさが感じられます。劇場にとっても俳優にとってもその存在を見る人の前に永遠に焼きつけることができる特別の機会でもあると思います。

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   このリレー朗読は昨年始まりましたが、今も続いていて、102回に達しています。アルベルチーヌという主人公の妻にして、レズビアンの女性のエピソードを読んでいます。

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 ※ 一冊の書物は、われわれが日頃の習慣や、交際や、悪癖などのなかで示している自我とは異なった自我の所産である。このもうひとつの自我を理解しようと思うなら、それに成功するためには自分自身の奥底に降りてゆき、自分の内部でこの自我を再創造する以外にない。— マルセル・プルースト「サント=ブーヴに反論する」

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