私は新型コロナウイルスの流行で、多くの人と同様に自宅で過ごすことが多くなり、外食三昧から家で料理を作るようになりました。購入した料理の本も和洋中から、コーヒー入門なども含めると、20~30冊に上ると思います。今までやってこなかったことが突然、目の前にドアが開かれて、啓蒙されたという感じでしょうか。その中でも、私の視野に入った本のうちで、あくまで私の主観ですが、最もよい料理本を出しているところは新星出版社ではないかと思います。
私が持っているのは次の3冊です。
・「料理の教科書ビギナーズ」(牧野直子著)
・「イチバン親切な和食の教科書」
「イチバン親切なフランス料理の教科書」(ともに川上文代著)
この3冊はサイズとか、装丁、紙質も似ていますし、写真をたくさん使って、新参者にわかりやくい解説をしてくれています。
中でも「料理の教科書ビギナーズ」は、だし巻き卵から、豚のしょうが焼き、コロッケ、かれいの煮つけや筑前煮、酢豚や焼きぎょうざ、えびチリ、麻婆豆腐、チーズリゾットなどなどビギナーズと言っても一通り、これだけ家で食べられたらいいじゃないか、というくらいの品数があり、しかも、あまり細かい技術は端折って、基本的な流れをしっかり頭に入れられるように書かれています。ですので、すごく実践的なんですね。
川上文代氏の方はフレンチの専門家でもあるだけに、ビギナーズ向けであっても、もっと細かい技術やその背景まで詳しく述べられていて、それだけに1品の写真入りの工程の解説も「料理の教科書ビギナーズ」よりは倍増されています。その気になればかなり勉強できる本という感じです。ですので、もっと料理にのめり込みたい人にとっては良い入門書だと思います。器や料理道具、スパイスなど、料理の周辺にある知識も広げてくれます。
こう見ていくと、もちろん、優れた著者が書いているわけですが、新星出版社には優れた編集者がいると見て間違いありません。私はいろんな料理の本を見比べてその中からチョイスした20~30冊の、その中のベストの出版社が、これらの本を出している新星出版社ということになります。といって別段、この出版社と私に何のつながりもないのですよ。
私はこうした料理書を実際に食材の購入から料理まで1年の間に作ってみながら読み進めて行ったのです。そして、この1年は新しいデジタル編集ソフトを導入したこともあり、一見料理と映像編集技術には何の関係もなく見えるでしょうけれど、ともに「技術」という点では共通するものがあると感じるようになりました。そうです、生きるために技術が大切、ということを今、重く感じます。それだけシビアな時代でもあります。でも、同時に技術の大切さを認識することは、生きる喜びに目を啓いてくれるものでもありました。
以下はイタリア人シェフのゲンナロ・コンタルド氏によるパスタなどの作り方のYouTube映像です。本だけではなく、こうした映像を見ると、分量とかの細かい情報ではなく、タイミングとか、手さばきなどのビジュルアル的なコツの把握ができますね。料理においてタイミングがとても大切ですが、クッキング本だと何分とか数字こそ書かれていますが、食材の質や分量でも違ってくるでしょう。ですから映像で料理を作っているイメージを頭の中でまずつかむことを私は心がけています。とくにその料理の本場の国のシェフの流儀を頭に少しでも入れようと思っています。日本人から見ると過剰ともいえるリアクション、これこそが本場の精神ですね。コンタルド氏はイタリア人のシェフですが、英国で活躍し、英国のイタリア料理の番組でよく知られた人のようです。