「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

スペイン軍が難民たちを海に追いやる 映像がばっちりと撮影される

 フランスのリベラシオン紙と言えば昨日、画家のオリビア・クラベルたちが青春時代に仲間たちと電撃デビューして一世を風靡したことを書きました。創刊者は哲学者のサルトルです。そのリベラシオンの電子版に興味深い、というか、これまた衝撃的な映像が寄せられ、UPされています。それはスペイン軍がモロッコの難民たちを海に押しやっている映像です。そりゃ、あんまりでしょう?警棒を使って、岩山からどぶーんと難民たちが海中に落ちていきます。それがこの記事です。購読していない人は、中の動画まで見れますか?一般市民がリベラシオン紙にこんな映像を見たけど、信頼できるのか鑑定して、と求めたことにリベラシオン編集部が専門家を交えて、実際に起きていると考えられると答えています。場所も特定しました。

www.liberation.fr

  そもそも場所は欧州ではなくて、スペインが北アフリカに持っている飛び地でのことだそうです。地名はCeuta=セウタです。そして、動画をあげたのは地元メディアのEl Faro de Ceutaです。訳すと「セウタの灯台」というローカルメディアですね。いったい何が起きているんでしょう?もちろん、アフリカから難民が欧州連合に入って大きな問題になっているというのはもう何年も続いていることですので、それ自体は新しさはないわけですが、でも難民を海に追い返す映像は見たことがありません。今、モロッコからスペイン領に渡ろうとする人が激増していて、5月17日から数日間で推定8000人(スペイン当局)に上っているのです。そして、6000人がすぐにモロッコ側に追い返されたと言います。うち2人が溺死しました。

 モロッコでいったい何が今起きているのでしょうか?

  日本での報道に以下のものがありました。なんとモロッコが不法に自国領に併合してしまった西サハラの独立派市民がスペインで新型コロナウイルスの治療を受けたことにモロッコ政府が反発して、国境警備を緩めた結果、欧州に行きたかった人々がスペイン領の飛び地に殺到したそうです。嫌がらせですよね。

news.yahoo.co.jp

 モロッコは、やることが小さいなあ。そもそも西サハラはスペインの植民地でしたが、1975年にスペインが撤退する時に、モロッコモーリタニア西サハラを南北に分割して併合させる秘密協定を結んだのです。西サハラの人々は<勝手に人の国を売り飛ばすな!>と言いたいでしょう。実は私、サハラ砂漠の中にある西サハラの難民キャンプを取材したことがあるんですよ。もう本当、何もないような砂漠で40年以上、難民生活をしているんです。このことは皆さんにもぜひ知って欲しいです。西サハラの人々はある人はモロッコ占領下で今も抑圧的な暮らしを強いられ、アルジェリアの先述の難民キャンプに渡った人々は砂漠の中で細々と生き続け、欧州に渡った人々は出稼ぎ労働者になっています。モロッコに占領されたために、バラバラになっています。でも、今も独立を目指しています。そして、国連は住民投票で決着をつけることにしたのですが、モロッコ住民投票を邪魔してきたのです。