「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

フランスの取材で  想像力に権力を

  私は以前、葛飾柴又の寅さん博物館なる建物に入っていると、後から入ってきたお母さん方に「あ、寅さんだ!」って言われたことが本当にあるんですよね。ローソク人形じゃない人間版が立っていたと思われたみたいです。心底、驚きました。

 映画の中の葛飾柴又とパリってなんか似ている所もある気がします。何がって言えば、濃密な人間関係に尽きます。パリの人間関係って、友達がいないと完全な孤立なんですけど、いったん友達ができるとどんどん広がってしかも、ものすごく濃密になります。

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パリで取材中(2017年) ©Didier Chaboche

 下は2016年と2017年の取材をまとめて2018年に出版したルポルタージュです。哲学者、経済学者、映画人、漫画家、画家、画廊主、学生、ジャーナリストなどなどいろんな人にインタビューしました。何かみんなこのままではいけないと思っていたんですね。ではどうしたらいいのかって、みんなパリの共和国広場に毎晩、集まって話し合い始めたんです。毎晩何千人も。すごい面白い日々でした。パリジェンヌたちが日常の服で広場でボレロのダンスを披露したり、即製の市民オーケストラがドボルザークの「新世界から」を演奏したり、ということもありました。1968年の五月革命と同じ「想像力に権力を」(L'imagination au pouvoir ) という言葉も目にしました。これは政府は人々の暮らしや思いに対する想像力がないといけない、ということです。人の心への想像力に欠ける政府はいらないということですね。この取材で出会った人々の多くは今では友達です。

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