「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

映画「縮みゆく男」の運命の甘受の仕方

 船上で謎の霧を浴びてしまった男が、その後、どんどん体が縮んでいき、やがて猫に追いかけられたり、蜘蛛と裁縫用の針を武器に戦ったりと不条理な運命に翻弄され、さらに縮むことがやまず、最後は運命を受け入れるに至る・・・そんな映画が「縮みゆく男」(1957)です。監督はジャック・アーノルド。

 米国の素朴な特撮映画ですが、演出の切れが良く、素朴なりにも面白い映像になっています。といっても、私はTrailer(宣伝)しか見たことがないのですが、外国の友人たちにはこの映画が好きだ、という人が多いですね。なんといっても、日常の私たちの当たり前の現実も、視点を変えることでこんなにも世界が異なって見えてくる、というとことが映像でわかりやすく示されているのが最大の売りでしょう。

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 ウィキペディアで読んだ知識ですが、映画会社は原作の結末のままでよいのか試写をして、場合によっては結末を変える可能性もあったのだそうです。つまり、運命を受け入れる、というのは原作通りだったのですが、結局、この結末が支持されて、そのままで一般公開になったのだとか。安易に元通りの体に戻さず、運命を甘受する、というところが哲学的ですらあります。どう考えても、この謎の「霧」は太平洋における水爆実験の暗喩でしょう。1954年に南太平洋のビキニ環礁で「ブラボー」という名の水爆実験が行われています。地元の人々はもとより、近海を操業していた日本漁船「第五福竜丸」にも被害が出ました。放射能を浴びた人が、そんな簡単に人体への影響がなくなるわけもありません。米国内でも原爆実験が繰り返され、多くの被爆者が存在します。その意味ではゴジラがとかげの巨大化だとすると、この映画はその逆を行くものです。

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