これは「お熱いのがお好き」(Some like it hot) というビリー・ワイルダー監督で、マリリン・モンローとジャック・レモン、トニー・カーチスが共演する喜劇で出てきたテーマ曲ですね。「熱いイワシ」を意味するThe Hot Sardines の「Running Wild 」です。「お熱いのがお好き」はシカゴのギャングの殺人を目撃してしまった男たちが楽団に紛れ込んで、ギャングの追っ手をまきながら、演奏旅行の列車で旅をする、という荒唐無稽の物語。二人の男たちがギャングをまくために女装してしまったばかりに移動中も女装を続けなくてはならず、恋しいマリリンになかなか告白できない、というもう1つの物語が主軸になります。一見ばかばかしい筋立てに見えますが、シェイクスピアの戯曲にもある堂々たる古典的な仕掛けでもあります。この映画のテーマ曲Running Wildは、聞いているとワクワクしてくる楽しい曲ですが、動画も音楽に負けないくらい、遊び心にあふれ、とても楽しい仕上がりになっています。しかも映画へのオマージュが映像にさりげなく盛り込まれています。
このバンドは歌手のエリザベス・ブージェロ ル(Elizabeth Bougerol)と、ピアニストでバンドリーダーのエバン・パラッツォ(Evan Palazzo)が中心になって生まれたニューヨークのバンドだそうです。トラディショナルなジャズにこだわっているバンドです。2019年には東京のブルーノートでも来日公演をしています。こんな風にクラシックなジャズを極めて洗練された現代的な演奏をして楽しませてくれるバンドは奇跡のようですが、アメリカにはジャンルを超えて様々な音楽家がいて、YouTubeなどでも多少、聞くことができます。