「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

トム・ハンクスのNYTへの寄稿  人種差別の歴史を学校できちんと教える必要がある

  俳優のトム・ハンクスニューヨークタイムズに、人種差別の歴史を学校できちんと教える必要があるというコラムを寄稿しています。そこで扱われているのはオクラホマ州タルサで1921年に起きた白人による黒人の大量リンチ事件であり、推定で最大では300人が殺されたとされています。これは地元では「ブラックウォール街の虐殺」と知られており、つまりは比較的豊かだった黒人が暮らしたエリアで起きた事件で、結局そのエリアは焼かれてしまったのです。

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  トム・ハンクスは自分は素人ながら歴史が大好きだとして、いろんな場で歴史のエピソードを話題にしてきたのだそうです。しかし、この話だけは最近の黒人差別反対運動の高まりまで一度も聞いたことがなく、ニューヨークタイムズで初めてその歴史を学んだとしています。ハンクスは、なぜこうした歴史が学校で学ばれていないかについて書いています。つまりはマジョリティである白人が、その子弟にとって不都合な歴史を教科書に盛り込むのを嫌がったからだ、と。これは日本の事情と同じと言って構わないでしょう。日本ばかりでなく、欧州も程度の差はあれ同じです。とはいえ、少なくともフランスでは最近明るみに出たルワンダの人種虐殺とフランス政府の関係のように、近年、コツコツと過去の自らの恥ずべき歴史を掘り起こす試みを続けています。

 ハンクスはこの寄稿で、そういう歴史は結局、同じ過ちを繰り返すことにつながるのであり、もし学校時代に不都合な歴史であっても教わっていたなら、後の歴史は変わっていくのだと書いています。だから、自分はタルサのブラックウォール街の虐殺事件を歴史で学ぶべきかと聞かれたらためらいなく「イエス」だと書いています。