フランスのマクロン大統領が公務の途中で、群衆の中の自称・極右シンパの若者からビンタされるという一幕があり、波紋を広げています。6月8日、フランス南東部のドローム県のことで、折しも地方選挙の運動中のこと。実はそのすぐ前にやはり極右のYouTuber(Papacitoという名前)が人形を標的にしたライフル射撃シーンを使って、極左政党の「服従しないフランス」(La France Insoumise) に投票した有権者は殺す、というYouTube映像をUPしていたことがあり(削除されたそうですが、見た人によると、そういう内容だったとされます)、今の政界にまつわる暴力的な雰囲気に殺伐とした印象を私は受けました。来年、極右のマリーヌ・ルペン大統領がついに誕生なるか、という瀬戸際にフランスはあります。中道と左派は結束できず、バラバラの状態のままです。一方、マクロン大統領はこの1年の新型コロナウイルス封じ込めの営業禁止措置や外出禁止令などで人気が低迷しています。
こうした中で、いくら不評判とは言え、大統領に対する平手打ちはやはり悲しいものがあります。規律に対する乱れ、暴力を平然と行使する空気というのはウイルスのように拡散し、伝播するものだと思います。こうした映像が拡散されることで、なんとなくそういうこともあり、という空気が拡まらないで欲しいと思います。
極右による極左政党有権者への脅迫ビデオを非難する「服従しないフランス」党首のジャン=リュク・メランション議員。後ろの画面が問題のYouTubeにUPされた脅迫的内容の映像。