フランスで最近、ジャン=リュク・メランション議員が率いる極左政党に投票した人は狙撃するというメッセージを自分のYouTubeチャンネルで出した<YouTuber、Papacito (パパシト)とは何者か>というタイトルでフランスの南西紙が記事を出しています。まず、「今日はひとつ左翼に防弾なのかテストしてみよう」と言ってライフルで左翼の人型を標的に射撃するという趣向のビデオですが、ジャン=リュク・メランション議員と共産党の大統領選候補者がともに訴訟を起こす動きを見せたことで、パパシトはYouTubeチャンネルからその映像を削除したとのこと。記事によると10万人の登録者がいるそうです。
Ringという出版社から3冊既に本を出しており、他の極右YouTuberと連携しながら番組を作っているとのこと。本名はUgo Gil Jimenezですから、移民のような印象があります。
「Royaliste, catholique, ultra-nationaliste, viriliste, islamophobe... Dans ses vidéos, le Toulousain de 35 ans n’hésite pas à cracher sa haine de la République et de tout ce qui ne correspond pas à son modèle d’homme “alpha” : les vegans, les “gauchistes”, les LGBTQI+... Bref tout ce qui sort de son fantasme de masculinité guerrière fortement influencée par l’imagerie médiévale perçue comme l’incarnation ultime de la virilité.」
「王党派、カトリック、超国家主義者、男性至上主義者、嫌イスラム派などなど、トゥルーズの35歳の男は憎しみを吐き出すのに躊躇はない。そして、自分が理想とする男性像に当てはまらない男性=ビーガン(菜食主義者)、左翼、LGBTQ+などに対しても、だ。端的に言えば、マッチョの幻想の集大成であり、究極の男性至上主義の具現化のように中世の世界観に影響されている」(南西紙)
記事はなかなか興味深い指摘をしているではありませんか。
下のfrancetvinfoの記事も面白いです。極右なんだけど、自分もスペインの移民の孫だそうです。
「Comme le souligne BFMTV, il s'est allié sur la plateforme à une autre figure de l’extrême droite baptisée Le Raptor, Ismaïl Ouslimani de son vrai nom, qui cumule 700 000 abonnés et près de 40 millions de vues.
Les deux youtubeurs ont créé en 2018 le hashtag #MonteUneEquipe, afin de regrouper des nationalistes partout en France et lutter contre "le déclin de l'Occident", explique le site Street Press dans une enquête publié en 2020 sur ce mouvement rebaptisé par la suite Vengeance patriote. 」
要約すると、Le Raptorというニックネームで本名イスマイル・ウスリマニというこれまた極右のYouTuberと提携しているそうで、この人物は70万人の登録者を持ち、4千万近い総アクセスがあるという存在だとか。これら2人の極右のYouTuberは「西欧の没落」を食い止めるべく戦っているそうです。そういう志向は、何年か前に起きた北欧の政治家テロ事件の犯人にもありましたね。
記事を読むと、大学時代に社会学を学んで研究者になろうと思ったものの左翼の牙城になっていると感じ、反発を覚えたようです。そうした感覚は2月に高等教育担当大臣が進めた大学の左翼教授がイスラム急進主義と手を組んでいるという言いがかりと響き合う印象です。高等教育担当大臣の発言はこうしたパパシトのような人間にアピールして、大学を左翼=イスラム急進主義から解放しようというような風潮を増幅しているのです。マクロン大統領をびんたした若者も極右シンパだということで、彼らは次第に国家や大学の「権威」自体に暴力で挑戦を始める空気を見せています。しかしながら、はったりか真の脅威なのか、見極めが必要ですし、ここでひるんでしまっては負けでしょう。