「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

前年比4.2%(4月)の米消費者物価指数の上昇をどう見る? 航空業界とレンタカー業界をまず見る

 昨年4月と比較して4.2% 消費者物価指数が上昇した米国。これをどう見ればよいのでしょう?という謎で、この間も掲載しました米政府統計のグラフを再掲載しました。このグラフでは真ん中に様々な商品全体の消費者物価指数の推移があり、そのほか、個別に大きく上昇している何本かはいずれも航空運賃とか、ホテル代とか、レンタカー代みたいな移動に伴う価格です。つまり、これを作成された当局の方は、ここから何かを読み取ってくれ、と言っているのではないでしょうか。

 価格が高騰する、というのは資本主義の世界では需給関係が変動している時で、しかも供給が需要に追い付いていない状態を指します。今年に入って、おそらくバイデン大統領就任あたりから、これらの大きな上昇率は何を意味しているのでしょうか。普通に読めば、自粛ムードから一転して移動が加速している、ということかという印象を受けます。ワクチン接種も始まっています。米国民の40%くらいはワクチン接種を体験しているんですね、すでに。のんびりやっている印象の日本とは差があります。このグラフのもう1つの可能性は、移動に関連した業種があまりにも経営が苦しくて、値上げせざるを得なくなっている、ということかもしれません。でももし需要が回復していない時に値上げすると、ますます経営が苦しくなっていくかもしれません。

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消費者物価指数の推移(都市部)

■米航空業界では

   米航空業界の動向を知ろうと、キーワード検索して見ると、CNBCでは「米航空業界にかすかな光」とあるではありませんか。「パンデミックの転機」到来か、という期待感のある記事です。夏休みに向けて、需要が上がりつつあるという記事ですね。ただ、まだ完全回復には遠いともあります。記事によると、米運輸当局の統計では5月の最初の18日間の前年同期比との比較で未だ92%の客足のダウンと言うので、どれだけ航空業界が厳しいかがわかります。それでも4月は95%ダウンだったと言うのですから多少は改善と言えるのでしょうか。上のグラフ(一番下の青い破線)では4月あたりから上向き始めていますが、航空チケット代はまだ昨年1月の価格よりは低くて、ようやく昨年1月比で当時の値段の90%に戻ろうというところのようです。

www.cnbc.com

  記事では国から支援金を受けたとはいえ、経営難から早期退職とか、一時休業とか、様々な措置が取られたり、さらにこの先検討されたりとのこと。

 

■米レンタカー業界では

www.wcnc.com

  先ほどのグラフで一番急激に価格が高騰しているのはレンタカー業界です。これはなぜかと言えば、かなりすっきりした答えがWCNCの記事に出ていました。レンタカー業界が新型コロナウイルスによる巣ごもりのために経営が苦しくて、保有する車を売却して経営難をしのいでいたことが挙げられます。そして、ワクチン接種の甲斐もあって、ここに来て家族がそろそろ我慢に我慢を重ねてきた家族旅行に出かけるか、という段になってレンタカー屋に行くと、車がそんなにたくさんないわけですね。これは需要が供給を追い越してしまった良い例のようです。昨年1月比で140%超ですから、4割以上値上がりしています。米国の場合は自動車を持っている家庭が多いわけですが、飛行機でまず移動した後、空港でレンタカーを借りて出かける、というケースが多いですね。

  でも、これを見ると、ワクチン接種を素早く行えるかどうかが、経済の回復の速さに影響することが如実に見て取れるように思います。日本のことを思い出すとワクチンを接種していない段階でGo To Travelをやったことが失敗かなという気がします。