ボーヴォワールのお尻の記事で、#裸とタグをつけたら、その日のアクセス数が一挙に3倍に増えました。それを狙ったわけではなかったんですが、キーワードの設定はアクセス数に影響を及ぼすのかもしれません。
今、「フランスを読む」というYouTubeのチャンネル向けにフランスのある本の話を編集しています。フランスの女性の精神分析学者が書いた本で、ここではまだ名前を出しませんが、衝撃的に面白いんです。フロイトの盲点を女性の視点からどんどん挙げて行くんですが、何よりも男がなぜ女性のおっぱいに惹きつけられるのか、という謎にも迫っていて、結構納得感を覚えました。男にはおっぱいがない、つまり、生命の源、生きるエネルギーを注いでくれる源のおっぱいがない、という欠落感があり、それが男たちの「おっぱい願望」の深層に潜んでいるのではないか、というのです。
昔から少女には自分に欠落しているペニスへの願望、いわゆる「ペニス願望」がある、という説は聞いたことがありましたが、この精神分析学者は「それは逆でしょ?」と言うのです。男がおっぱいの欠落の大きさを痛感するから、逆に少女に「ペニス欠落感」がある、という発想が出てきたのではないかと彼女は推測するのです。おっぱいに惹きつけられる、というのはエッチ、ハレンチなことと思われてしまいますが、実際には哺乳類の命にかかわる大きなテーマで、そんな風に下劣に見ることもないのではないか、という気すらしたのを覚えています。
そこからさらに思ったのですが(余談になりますが)、過労死した男性の~しばしば中高年の過労死裁判で被告側の企業が、過労死した男性が(残業月間200時間みたいな状況の中で)アダルトビデオを見ていた、であるがゆえにそれは過労死ではないという論を時々、展開しています。確かに一見一理ある理屈に思えます。そんなの見る暇があったらさっさと寝たら良かったでしょ、そうしたら死ななかったはずだ、みたいな論理展開です。なるほど。でも、考えてみると、そんなに残業だらけになると、仕事場から抜け出すことすら難しく、家にだって帰れない、という日が何日もあることが想像されます。そんな時に、妻や恋人とレストランに出かけてコース料理を食べたり、映画を見てベッドインする・・・みたいなことは難しいのではないでしょうか。そんな時間をかける余裕は全然ないんとちがうか、と私には思えてなりません。
過労死するまで働いたことは私にはありませんが、人間はストレスが極限に近づくと生命の源に触れたい、という激しい衝動を覚えるのではないでしょうか。つまり、命の危機であるからこそ、命の根源に、太陽に触れて命の火をたとえ一瞬でも燃え上がらせて、危機を乗り越えたい。そんな風に理屈ではなく、体が欲望するのではないかと思えるのです。そういう時に、たった一人無機質な部屋に閉じこもって夜も昼もストレスフルな作業をコツコツしないといけない、この状況の辛さを想像します。