「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

2階にいったい誰が?

  昨日私は駅からの帰り道、70歳前後とみられる女性が携帯電話で話しながら歩いていて、一度会話を終えた後、もう一度、電話をかけるのを見ました。相手は同じ女性らしく、「先ほどいいそびれたんですけどね、私今日、スイカを4つも5つも買ったんですよ、ちょっと小ぶりなんですけど。でも、意地悪だから2階にはあげない。私一人で食べる。奥さん、このことをお伝えしたかったんです。それでは」

  大きな声なので、周り10メートルにいれば誰でも聞こえたはず。他人の話ながら、話に出てくるいじわると評された「2階」に誰が住んでいるのか、気になってきました。集合住宅ではなく、1軒家だろうと思うのですが、2階に住んでいるのは息子夫婦とかでしょうか?嫁が「意地悪」だったとしても、息子はたいがい可愛いものでしょうから、「2階」と一言でくくれないのでは、と思いました。それに家族なら、冷蔵庫は1階も2階も共同で普通は使っているのではないのかな。

 家の構造が不明であることが、彼女の家族関係あるいは人間関係をも漠然とさせるのですが、もしかして、2階は彼女の夫なのかもしれないとも思いました。子供たちが巣立ったあと、老夫婦で2階を夫が、1階を彼女が占有しているということは可能性としてはありえます。2階が意地悪だとすると、夫が意地悪だから、スイカは彼女が独り占めにする、ということはありえるのでしょうか。しかし、夫婦だと財布も冷蔵庫も共有なのではないかとやっぱり思えます。

  では、もしかすると夫の母親がたとえば93歳とか95歳とかで生きているとしたら・・・。1階は彼女の夫婦で使っていて、2階に夫の母親がいて、姑のために簡単なエレベーターなんかもあるのかもしれません。そして、2階には姑のための独立した冷蔵庫があり、そこで自分の好きなものを食べる小さなキッチンもあるかもしれません。・・・

  でも、こう考えると恐ろしすぎる。2階にいったい誰が? もしかして、2階にいるのは彼女が電話をしている「奥さん」だったりして。もしかしたら意地悪なのは2階じゃなくて彼女だったのかな。あるいは、遠回しな言葉でその人に1階にスイカを食べに降りてきなさいと誘っているのかもしれない。