「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

「サルコジ カダフィ」

  「アラブの春」の際に、フランスなどがリビアの反政府勢力に一方的に肩入れした結果、カダフィ政権が崩壊後、国内にイスラム原理主義勢力(ダエシュ)が跋扈するなど、リビアは10年に渡る内戦に突入してしまいました。フランスの大統領は当時はサルコジでしたが、サルコジはこの軍事介入に積極的でした。その理由は「サルコジ カダフィ」というこのジャーナリスト(カトリーヌ・グラシエ)の書いたこの本によると、サルコジが2007年の大統領選挙の際にカダフィから選挙の資金援助を受けていたことをカダフィに暴露されるのを恐れた口封じだったとされます。2007年の選挙の際の資金の不正はロレアルという企業の会長から金をもらったとしても、捜査されてきました。それに加える形でのスキャンダルです。どの国でもそうでしょうが、外国人とか外国政府から選挙資金を得るのは禁止されているでしょう。要するに法を破る形での資金を得て選挙にあてた疑惑でした。

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 表向きは人権擁護の軍事介入ですが、裏は全く違う。こんな人間のために、多くのリビア国民が血を流して死んでいったとすればなんとも空しい。フランスの暗殺部隊がカダフィだけでなく、その息子たちも標的にしていたことが書かれており、逆にロシアから送り込まれた秘密部隊がカダフィの家族をひそかにリンチや暗殺から守っていたと書かれています。

 この時、サルコジに信頼されていたメディア哲学者がベルナール・アンリ・レヴィで、頭文字をとってBHLと書かれることもありますが、彼はリビアにフランスは軍を送って政府軍を倒すべきだと語っていました。さらに自らリビアを訪ねて、煽ってもいました。その後のリビアの崩壊と内戦の悲惨については責任を何ひとつ取っていないと思いますが、今回もアフガニスタンタリバンによる陥落を受けて、メディアに浮上するかもしれません。BHLは新しい哲学者の一群の代表株だった人で、その多くは旧ソ連を批判してメディアの脚光を浴びてデビューしていました。

 

  著者のインタビュー。

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