「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

イグナシオ・ラモネ著「21世紀の戦争」  約20年の時を経て再読

 イグナシオ・ラモネ著「21世紀の戦争」(Guerres du XXI e siècle) を最初に読んだのは2002年の刊行直後でしたので、かれこれ20年ぶりに再読しました。これは米軍が撤退してタリバンが勢力を挽回したことをもって、読みたくなったのです。20年前に何が書かれてあったのか、と。著者はルモンド・ディプロマティーク誌の編集長をしていた人で、2002年1月に亡くなった社会学者のピエール・ブルデューに代わるような存在だったのを覚えています。

 「21世紀の戦争」では米軍のアフガン侵攻がどのような文脈で起きたのかを描いているのですが、それは1991年のソ連崩壊と冷戦終結、そしてグローバリゼーションの始まり、さらにその背景にあるIT革命と金融とリアル経済の分離などに深く関わっていました。ワールドトレードセンターの2つのビルは米国の象徴というだけでなく、グローバル金融の象徴でもありました。そこにイスラム戦士たちがアメリカの飛行機を乗っ取って乗員・乗客を巻き添えにしつつ、特攻隊的に突っ込んでいったのです。あたかもゼロ戦が空母に突っ込んでいくかのように。

  本書は日本でも翻訳が出ましたが、私が社会に出てフランス語を再びはじめるきっかけになったのが9・11同時多発テロで、世界の実像を読み取るには英語だけではないもう1つの情報のソースを必要を痛切に感じたのです。そして、フランスは2002年に初めて訪れました。今にして思えば同時多発テロ以後の米軍駐留の歴史は、私のフランス語の勉強歴と重なっているのです。本書も懇意にしていたパリのヴァレール書店から個人輸入という形で取り寄せて、熱心に辞書を引きながら読んだのを覚えています。当時はアマゾンを使うということもありませんでしたので、個人的に本を数冊輸入するとなると日仏の金融機関にそれぞれ3000円ずつくらい手数料を取られて輸送費など含め、合計7000円近く経費が増してしまったのですが、それでも私は平気でした。それぐらい、フランスの書籍は私にとって貴重だったのです。それはアメリカの視点から距離を置いて、独自の視点で世界を見る、ということを可能にしてくれます。

  今本書を読み返す意義というのは、アフガニスタンへの駐留を米軍が始めた頃、世界がどんな風に見えていたのか、それをもう一度想起したいがためです。この数日、アフガニスタンがらみの、そして9・11がらみのニュースやドキュメンタリーをYouTubeで多数見ましたが、時には涙してしまうこともありました。それは他者の痛苦というだけでなく、確実に私自身の個人的な人生とも関わっているからです。

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