「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

日本の総裁選を報じたニューヨークタイムズ 記事からは岸田文雄首相が誕生しそうに読めました

  ニューヨークタイムズの総裁選報道で、一番興味深かったのは岸田文雄自民党の古い権力者たちの支持があり、若手も含めてみんながボスたちの言いなりになって投票すれば総裁になる可能性ありとしている一方、河野太郎は新しい世代のはっきりものを言う政治家だがワクチン担当大臣としての職務もあるうえ、菅政権のコロナ対策への批判が今回の選挙では河野太郎のマイナスになり得て、勝ち目が少ないのではないか、と書いているところです。ニューヨークタイムズ自民党守旧派が一致団結すれば岸田首相、新しさを求めて若手らによる守旧派の古参リーダーたちへの造反が起きれば河野太郎首相の可能性もありと匂わせています。いずれにしても河野太郎は未来に首相になる可能性があるとしています。石破茂は岸田のライバルたりえるし、地方議員の支持もあるが、国会議員には評判がよくないために難しそうな印象を伝えています。高市早苗は今回は勝ち目がなくとも将来の女性首相を目指して立候補しているとしています。

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    政治学者の中野晃一教授の右傾化理論によると、日本の右傾化は1980年代から一貫して続いている現象で、今回、仮にハト派岸田文雄首相が誕生したとしても、それは小休止であり、その次にもっと右傾化した首相が出てきます。今回の総裁選でも記事に出てくる石破、河野、高市はみな軍隊志向のある右翼政治家です。なぜ日本が一貫して右傾化するかという中野教授の理論の理由はいくつかあると思いますが、第二次大戦と日中戦争の記憶のある人が死滅して、戦争の恐ろしさを肉体レベルで知っている人がほとんどいなくなってしまったことは最大の要因ではないかと思います。他にも国際経済のグローバル化が背後にあったりしますが、私は何より、「歴史の忘却」が最も強い要因だと思っています。

 ニューヨークタイムズ岸田文雄守旧派に支持された古風な政治家と描いていて、アメリカンな視点ではちょっとネガティブな印象を受けました。しかし、戦後の昭和を引っ張ってきた自民党政治家たちは今日の二代目、三代目の極右政治家たちよりも、国民全体に目配りのできたまっとうな政治家だったと思います。そういう意味ではニューヨークタイムズの岸田像には私はいささか不満を感じています。ただ、岸田文雄近衛文麿みたいに線の細い印象があり、平和や基本的人権を守るためにどこまで全力を尽くせるか、アメリカの軍事的要求をはねのけられるか、その実力は不明でしょう。