来年に迫ったフランス大統領選。共和党から強力な候補が登場し、極右2候補を撃沈する勢いとなっている今、分裂して勝ち目がゼロに近い左派からはクリスチャーヌ・トビラ元司法大臣が参戦すると発言して話題となっている。海外領土であるギアナ県出身のトビラ氏は黒人で、社会党などフランスの主要政党に属しておらず、独自の立場で名乗りを上げた。現在、左派政党は服従しないフランスのジャン=リュク・メランション候補、緑の党のヤニック・ジャド候補、社会党のアンヌ・イダルゴ候補がそれぞれ参戦しているもののいずれもぱっとせず、共倒れになることはほぼ確実だ。2017年の大統領選では勝ち目もあったメランション候補だが、今では新鮮味が失われている。この4年間で左派陣営は分裂したまま残念ながら形勢を立て直せなかった。左派がこんな風に分裂していては勝てるものも勝てない。ということで、トビラの参戦は左派陣営の再構築の起爆剤となるのではないかとの希望を持つ人もいる。2022年1月15日に左派の有権者28万3千人が投票する左派陣営の市民による予備投票を計画しており、アンヌ・イダルゴ候補はその決定に従うとしているが、メランション候補とジャド候補はそれに対して従うとは言っていないようだ。
トビラ氏は黒人政治家ゆえにフランスでは悪意のあるメディアから猿扱いされたこともあった。しかし、その毅然とした姿勢やぶれない政策、優れた知性と判断力から、多くの人々を引き付けている。