ニューヨークタイムズのジャーナリストでコラムニストのトマス・フリードマンはロシア軍のウクライナ侵攻がどういう形で決着する可能性がありうるかを3つに分類して書いています。
1)最悪のシナリオ・・・プーチンの仕掛けた試みがナチスレベルの悪にまで発展する。すなわちウクライナ要人の抹殺とウクライナの破壊。こうなった場合、西欧国家群はロシアと妥協することは不可能になる。徹底した戦争になり、核戦争が欧州で起こる可能性が高い。
2)汚い取引きで妥協・・・ウクライナを元通りに戻したうえで、NATOはウクライナから手を引く。フリードマンは、すでにロシア側兵士も多数死んでしまった現在では、この妥協策はプーチンにはできまい、ともいう。
3)最良のシナリオ・・・西側社会のロシアへの経済制裁や国際社会からのロシア排除によって、ロシア人は高い「プーチン税」を払って生きなくてはならなくなる。それを厭うなら、民衆が決起してプーチン放逐を行い、ロシアをかつての民主化路線に戻す。
フリードマンも書いていますが、この事態は第二次大戦後、初めて欧州の政治を揺るがす大きな地殻変動を起こしており、1962年のキューバ危機以来、最大の核戦争の危機に陥っています。この現状を考えれば、冷戦終結後に西側が描いていた世界の民主化へのシナリオが失敗してしまったことを示しています。特に、冷戦終結で本来は米ソ核戦争が回避できたはずだったのが、再び全面核戦争の危機に直面しています。対ロシアだけでなく、対中国でもあります。冷戦終結で核廃絶に至れなかったことが最大の失敗です。これは男性の政治家の限界でもあると思います。
※昨年の「デモクラシー・ナウ!」でノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶を目指すNGOが登壇。コロナ禍でも莫大な予算が核兵器開発とその維持に費やされている無駄を指摘。