「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

モサド元長官の意見  露軍をどうすればウクライナから撤退させられるか

 モサド元長官の意見は面白いですし、説得力があります。「通常戦力において、ロシアがウクライナに対し明確かつ圧倒的に勝っていることを考えれば、この作戦はプーチンにとって一見、自滅的にも思える。これほど早い段階でプーチンが核による脅しを持ち出す必要があるのだとすれば、その理由を真剣に分析しなければなるまい」というのが元長官の着眼点であり、ここが秀逸(と私などがいうのはおこがましいでしょうが)。

 

アメリカ政府がプーチンに対してすべきこと

モサド長官エフライム・ハレヴィ「ウクライナ侵攻を解決するヒントは“キューバ危機”にある」courrier.jp

  この意見を考える時のポイントは冷戦終結と簡単に口にしていたけれども、NATOは冷戦時代の思考に沿って動いていることで、ロシア軍の行動も冷戦時代の思考に沿っている、ということでしょう。したがって、冷戦は終わったと言われながら、実は冷戦は終わってはいなかったことを認めなくては、今回の事件に対する効果的な解決策も取ることができない。冷戦終結後の民主主義世界VS独裁者という発想では解決できない、という考え方の提示です。

 

  私がこの考えを興味深く思うのは、サルコジ大統領時代にフランスと英国と米国、つまりはNATO諸国が国連の基準を無視して、一方的にカダフィ政権つぶしの空爆を行って政府を倒したことがあったことです。この水面下でNATO側とロシア軍がリビアで戦っていたという報告をフランス語の文献で私は読みました。リビアはロシアから兵器などを購入しており、NATO側が好む政治家に首を挿げ替えれば、リビアの兵器需要をNATO側の軍需産業が満たして、大きな利益を得ることが可能になります。ロシアの影響力の低迷は、ロシアの軍需製品への需要の低迷と連動し、ロシア製兵器を北アフリカや中東から排除していけば、NATO諸国の兵器産業も潤います。冷戦が終わったと言われながら、リビアでも、イランでも、シリアでもロシアとNATO側は常に対立してきました。それがある意味、独裁政権を擁護させる結果となりましたが、しかし、NATO諸国が独裁者を倒して平和が訪れたかと言うとアフガニスタンを見て分かるように全然そうなっていません。武力で解放したからと言って、その地域が民主国家になるかどうかは未知数です。

   参考までに、以下は「アラブの春」の時のロイター通信の記事。世界第二位の兵器輸出大国ロシアが、リビアNATO陥落で、兵器市場を失って、莫大な損失になったと書かれています。当時、カダフィ政権との間で40億ドル(ざっと4000億円)の兵器輸出の見込みがあったのが、反故になってしまったのです。記事では、これは表層の数字で、裏はもっと巨大な金額になるとロシア人の軍事筋が述べています。

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