経済地理学者のデビッド・ハーヴェイ教授が、ウクライナ戦争の背景にあるNATO諸国の考え方の誤りをつづっています。これは冷戦終結後の歴史から考察する、と言う点ではすでに私が紹介した人々と通底しています。そして、また共感したのは、戦争がどういう形で終わるにせよ、ロシアへ厳しい制裁を押しつけることは問題を解決するどころか、むしろ、未来の戦争の種をまくことにしかならない、という考えでした。第一次大戦での過酷なドイツへの賠償金などの請求がナチスを培養する土壌になった反面、第二次大戦後に日本や西ドイツに経済支援をして復興を支えたことが、復讐の戦争を阻止することになったとしています。さらに、冷戦終結後、民主化して西側入りしようとしていたロシアに、第二次大戦後のマーシャルプラン同様の支援をすべきだったと述べています。