「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

「百歳の哲学者が語る人生のこと」 エドガール・モランの本が翻訳されました

   哲学研究者であり、文学の翻訳者でもある澤田直教授が翻訳した最新刊がエドガール・モラン著「Lecons  d’une siecle de vie (100年の人生の教訓)」(直訳)で、邦訳のタイトルは「百歳の哲学者が語る人生のこと」です。本書が貴重なのは、100年生きた人で初めて語れる「歴史」と人生の経験であり、モランの素晴らしところは失敗したこと、間違ってしまったことを素直に告白していることです。たとえば、ナチスドイツがチェコのドイツ人居住区を併合すると主張した時、特に疑問を持たず、ナチスはいずれドイツで勢いを失い、まともな政治権力が登場して自浄されると予想していたことです。後付けではなくて、当時のことをリアルに思い出してみると、想像できなかった予想外に進展することが人生には無数にある、ということが打ち明けられています。共産主義に影響されたときにスターリニズムの洗脳を受けてしまったことも反省を込めて振り返っています。独ソ不可侵条約も予想できなかったと打ち明けています。この本は政治だけでなく、愛や哲学、アイデンティティ、人間の複雑さなどについても100年の経験ならではの思索を語っています。平易な文章なので読みやすいですが、1つ1つの章はじっくり読むに足る深みがあり、長い時間をかけて読み返したい本です。

百歳の哲学者エドガール・モランの本が翻訳されました