「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

表現の自由とネットメディア 統一教会をめぐる投票日前の報道をきっかけに

  安倍首相が暗殺された翌日の朝刊は各紙ともまったく同じ見出し「安倍元首相 撃たれ死亡」というもので、ネット世界では多くの人が大手5紙を並べて、その異様さを見える化していました。これを見たら、報道の自由はもはやこの国になくなったのだなと多くの人は思うに違いありません。しかも、宗教団体という言葉はあっても統一教会という具体名は伏せられていました。これもまた異常な事態でした。


  統一教会という名前が伏せられたプロセスに具体的に何があったのか、と疑問に思った人は少なくないでしょう。それについて初めて筆者が知るきっかけとなったのが、デモクラシー・タイムスのYouTube動画「肌感覚で知る永田町の統一教会 有田芳生さん」でした。
 


 これは統一教会に詳しい参議院議員有田芳生氏をゲストに迎え、情報に富んだ優れた番組であったと思います。この中で、ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏が興味深い発言をしているんです。タイムコードでは、1:06:55あたりから。
 安倍首相が狙撃された後、警察は報道記者たちには統一教会という名前を出していたと言うのです。ですから、統一教会の名前を伏せたのは各新聞社、マスメディアの自主的な判断だったらしいのです。そして本来はIndependentで最も自由であるはずのYouTubeの「デモクラシータイムス」ですら、統一教会の名前を知りながらも、7月9日土曜日の番組では名前を自主的に伏せたと山岡氏は告白しています。

 いったい何を恐れてかというと、YouTubeからチャンネルを停止させられる恐れを感じたから、と言うのです。これは<公平性を欠いた報道を選挙前にしたら電波停止にする>という高市早苗総務大臣の恫喝で腰が引けた民放各局と通底しています。山岡氏は、YouTubeは私企業であり、どんな理由でチャンネルを止められるかわからない、とその恐れを率直に述べています。これは、かなり重要な話だと私は思いました。たとえば、ある圧力団体のメンバーが一斉にYouTubeに抗議を送るとか、そういう圧力もあり得るのです。素晴らしい報道をしたら大丈夫というのとは次元の違うところで、物事が決められていく可能性があるのです。

  YouTubeの独立メディアがチャンネルを停止させられる脅しを受けるのは過去にも例があります。デモクラシータイムス自身も一方的にコンテンツを削除されたことを経験しているとのことですが、ジャーナリストの岩上安身氏が運営するIWJも、1年前、ワクチンをめぐる報道で、YouTubeから動画を一方的に削除されています。


 IWJは同じ動画をUPした外国特派員協会には何のおとがめもなく、IWJだけ削除されるのは納得ができないとしています。しかも、今後も同じようなことを繰り返せばチャンネルがつぶされてしまう恐れもあったのです。

 「2回目の違反警告を受けると、2週間コンテンツを公開できなくなる。90日以内に3 回目の違反警告を受けると、チャンネルはYouTubeから永久に削除されてしまう。今回の違反警告の有効期限は10月12日まで。しかし、どのような基準で『ポリシー』に反するのか分からなければ、いつサドンデスのようにチャンネルが削除されるか分からない」(IWJ)

  過去何年もコツコツ積み重ねてきたコンテンツが一瞬にして無に帰す恐ろしさを想像すると、山岡氏の発言の感じがより理解できるでしょう。IWJは削除されたコンテンツをVimeoに再度UPして抵抗しました。大手メディアはコントロールされているが、独立メディアは自由だ、とは完全に言い切れない問題が存在していて、自由な報道を脅かしているのです。

 

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