「ニュースの三角測量」

ニュースを日英仏の3つの言語圏の新聞・ラジオ・TVから読んでいきます。アジア、欧州、アメリカの3つの地点から情報を得て突き合わせて読むことで、世界で起きていることを立体的かつ客観的に把握できるようになります。それは世界の先行きを知ることにもつながると思っています。時々、関連する本や映画などについても書きます。

日中戦争が再開されると・・・

  日中戦争が再開されると、かつて起きたシーンが再び起こり得ることは間違いない。それは、自衛隊員だけの問題ではなく、持久戦・長期戦になるだろうから、必ず日本人全員が、特に男性が兵士として銃を取らされる可能性が高いことだ。ということは、銃を手にして、中国人を自分が、あなたが撃てるか、という問いである。

  第二次安倍政権の前夜に、NHKクロード・ランズマン監督の『ショア』と同等の重厚な戦争体験の証言番組をシリーズで制作していた。そこで高齢の元兵士が新兵の訓練時代にやらされた中国人殺しの訓練のことを話していた。それを語るのは戦後、初めてのことだと説明されていた。新兵が捕虜やスパイ容疑者などを対象に殺人の訓練をさせられる経験は、ナチスでも行われた。この元兵士の証言は、衝撃的だったとともに、その人が戦後60年近くもその経験を誰にも話すことができなかったことも衝撃だった。

  今度の日中戦争は、中国軍が日本に侵略をかける、というのではなく、中国と台湾の内紛に対して、米国から日本が尻を叩かれて参戦させられようとしているのである。安倍首相時代に憲法解釈を逆転して強行採決で成立させた一連の安保法制さえなければ日本にとってはいかなる安全の危機でもない事態なのである。安倍首相が集団的自衛権を無理に押し込んで安保法制を作ったために、戦争に巻き込まれて日本が戦火にまみれる可能性は限りなく高まった。その意味で、最も愚かな法制度と言える。そもそも、憲法があれば他国による侵略に対しては、戦うことができるのである。もちろん、台湾が中国に力づくで統一されるのはよくないとしても、戦争をするのはもってのほかだし、戦争で解決できるとは思えないのだ。